こんにちは。ラスベガス在住ポーカープレイヤー兼ディーラーのRYUです。ラスベガス滞在3ヶ月目にして合計500万円以上の賞金を獲得、優勝した実績があります。
今日はコンビナトリクスとは何かを紹介します。
この記事のレベル
- 対象 上級者
- 重要度 ★★★★★
コンビナトリクスという言葉をご存知でしょうか。
コンビナトリクスは、中学レベルの数学で理解できる概念ですが、コンビナトリクスという概念を理解した上でアクションを行えるプレイヤーは少ないです。
コンビナトリクスの概念を理解することで、自分がどのようなアクションをすべきなのか数学的な観点から判断することができます。
ぜひこの機会にコンビナトリクスの概念を理解し、トッププレイヤーを目指しましょう!
・一流プレイヤーになるために踏み込んだ戦術を知りたい
・べット額は何を基準に考えればよいかわからない
それではどうぞ!
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コンビナトリクスの概念
コンビナトリクスとは
コンビナトリクスとは、相手が自分より強いハンドの組み合わせ、または自分より弱いハンドの組み合わせをどれくらい持っているかを知るために必要な概念です。
自分が勝負に勝つために必要な勝率(=必要勝率)に対して、相手の強いハンドの組み合わせが多ければ、相手のベットに対してフォールドすべきであるとわかりますし、一方で、相手の弱いハンドの組み合わせが多ければ、相手のベットに対してコールまたはレイズをすべきであるとわかります。
まとめると、コンビナトリクスを理解することで、自分がどのようなアクションをすべきなのか、数学的な観点から判断することができます。
ちなみに、コンビナトリクスの計算をゲーム中に正確に行うことは、天才数学者以外は不可能です。
ですが、必要勝率と比較して勝っているコンボが多いのか、負けているコンボが多いのかを肌感覚で理解して戦えれば十分です。
コンビナトリクスを数える際、その単位をコンボと表現します。
敵プレイヤーがもちうるスターティングハンドに対して、敵が持ちうるハンドは
・ポケットペア(数字揃い)
・スーテッドハンド(柄揃い)
・オフスートハンド(柄不揃い)
の上記3つに分類されます。
そこで、敵が持ちうるスターティングハンド(=コンボの母数)に対して、上の3分類(=コンボの分子)がそれぞれどのくらいの割合になるのかを考えていきます。
このコンボ数を数えて、ベット・コール・レイズ・フォールドなどのアクションを決定することができます。
アクションが決定すれば、べットする場合のべット額の目安、ブラフする場合のべット額も目安となります。
まずはコンボ数の数え方を理解しましょう。
コンボ数の総数
スターティングハンドの組み合わせは、52枚のうち2枚の組み合わせを考えますから、全部で1326通りあります。
この1326通りがコンボ数の総数となります。
まずは、この1326コンボを基準として、各スターティングハンド(ポケットペア、スーテッドハンド、オフスートハンド)がそれぞれ全部で何通りあるのかを確認していきましょう。
ポケットペアのコンボ数
ポケットペアは、数字の組み合わせで22~AAまでの13個あります。
数字をAAと仮定したとき、
、 、 、、、
柄の組み合わせは6通りになります。
これに数字の組み合わせが13通りありましたので、
ポケットペアの総数は、13×6=78コンボになります。
スーテッドハンドのコンボ数
スーテッドハンドはまず数字の組み合わせでは、A絡みが12通り、K絡みが11通り、Q絡みが10通り…の合計78個あります。
数字をAKと仮定したとき、
、 、 、
柄揃いは4通りになります。
数字の組み合わせは78個ありましたので、
スーテッドハンドは4×78=312コンボあります。
オフスートハンドのコンボ数
オフスートハンドはまず数字の組み合わせでは、A絡みが12通り、K絡みが11通り、Q絡みが10通り…の合計78個あります。
数字をAKと仮定したとき、
、 、 、 、 、 、、、、、、
柄の組み合わせは12通りになります。
数字の組み合わせが合計78個ありましたので、オフスートハンドの総数は12×78=936通りです。
ポケットペア、スーテッドハンド、オフスートハンドのコンボ数を合計すると、78+312+936=1326通りと、全てのコンボを網羅しているとわかりました。
コンボの活用例
それでは、コンボの考え方を実際の場面を踏まえて応用してみましょう。
ボタンが、上記のようなレンジで戦っているとします。
このレンジでは、それぞれ
ポケットペア…78コンボ
スーテッドペア…147コンボ
オフスーテッドペア…206コンボ
になります。(計算方法は前の章で説明したコンボ数の数え方を参考にしてください)
すなわち、
78+147+206=431コンボが、ボタンの合計コンボ数です。
これは全スターティングハンド1326のうち、約32.5%でゲームに参加していることになります。
431コンボを分母として、ボタンは各ハンドをそれぞれどのくらいの割合持っているかを考えると、
ポケットペア…約18%(78/431)
スーテッドペア…約34%(147/431)
オフスーテッドペア…約48%(206/431)
になります。
ここで、BBがスリーべットしてきました。
このレンジでは、それぞれ
ポケットペア…48コンボ
スーテッドペア…80コンボ
オフスーテッドペア…24コンボ
になります。(計算方法は前の章で説明したコンボ数の数え方を参考にしてください)
すなわち、
48+80+24=152コンボが、BBの合計コンボ数です。
これは全スターティングハンド1326のうち、約11.5%でスリーベットしていることになります。
152コンボを分母として、BBは各ハンドをそれぞれどのくらいの割合持っているかを考えると、
ポケットペア…約32%(48/152)
スーテッドペア…約53%(80/152)
オフスーテッドペア…約15%(24/152)
になります。
そこでボタンが、QQ、AK+以上のハンドでしかBBに対抗しないとします。
ボタンのレンジ431コンボを分母として、QQ,AK+以上でしかアクションを行わないので、その割合はそれぞれ
ポケットペア…約2.8%(12/431)
スーテッドペア…約0.9%(4/431)
オフスーテッドペア…約2.8%(12/431)
となり、全部で元のレンジからたったの6.5%です。
つまり、初めのレンジからたったの6.5%しかアクションを継続しないということです。
この場合、(どんなハンドでもボタンは勝負を継続することが利益的となりますから、)このボタンのアクションは降りすぎであるということがわかります。
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では、BBのスリーベットにボタンがコールしたとして続きを見てみましょう。
仮に、ボタンのスリーベットコールレンジは上の通りだとします。
BBのレンジは上の通りだと仮定します。
AKo 4 Axs 18コンボ T9 16
ヘッズアップの状況でコミュニティカードはリバーまでオープンしました。
すると対戦相手のBBからポットベットのオールインが来ました。
この時のボタンの必要勝率は33%です。(必要勝率の記事はコチラ)
コニュニティカード
自分BTN
計算式
(自分が勝っていると予想する場合の相手のコンボ数)
自分が勝つ場合、相手はストレートドローミスやAヒット、自分より弱いAのツーペアを、自分が負けている場合、相手はトリップスを持っていると仮定して求めます。(※チョップは今回省きます。)
相手が下位の2ペアを持っている場合のコンボを計算します。
例
2(Aが残り2枚)×2(8が残り2枚)=4
2(Aが残り2枚)×2(5が残り2枚)=4
2(Aが残り2枚)×2(3が残り2枚)=4
合計12コンボとわかりました。
同じように計算すると、
ストレートドローミス 9 10のスーテッド、オフスートの16コンボ
Axのスーテッド、オフスートの38コンボになります。
合計66コンボになります。
(自分が負けていると予想する場合の相手のコンボ数)
スリーカード例:AAの1コンボ、JJの1コンボ、88の3コンボ、合計5コンボ
相手がスリーカードを完成する場合のコンボを計算します。
2(A)×(2(A)-1)÷2=1
2(J)×(2(J)-1)÷2=1
3(8)×(3(8)-1)÷2=3
合計5コンボとわかりました。
勝つコンボ数が66コンボに対して負けるコンボ数が5コンボなので、
66+5=71
想定したコンボ数が合計で71コンボとわかり負けるのが5コンボだけなのです。
この場合の勝率は約93%になります。
この数字は、初めの必要勝率33%を優に超えていますから、相手のオールインにコールで返すことが肯定されます。
このように、計算式をあげてきましたが正確に計算することは数学の天才以外は不可能です。
しかし、必要勝率と比較して勝っているコンボが多いのか、負けているコンボが多いのかを肌感覚で理解して戦えれば十分です。
また、オフスーテッドが12通り、スーテッドが4通り、合わせて16通り、ペアが6通りという3つの数字を暗記すれば大まかな計算が可能になります。
数学が苦手でも大丈夫!コンビナトリクスのTips
コンビナトリクスの計算は、プレイ中にできなくても大丈夫です。
先ほど説明したとおり、ペアが6通り、スーテッドが4通り、オフスートが12通りと説明しました。
これはつまりオフスートはペアの2倍の確率、スーテッドの3倍の確率で成立するとわかります。
すなわち、AAを持たれていたら負けるが、相手がAKだったら勝てるという場面でも、コンビナトリクスの考えが理解できていれば、AAかAKのどちらか、つまり確率が2分の1と考えるのではなく、AAが6コンボ、AKが16コンボの合計22コンボです。
つまりAAは27%、AKは63%の確率で出てくるとわかります。
すなわち、レンジ表では2分の1で怯えていたAAも、コンビナトリクスの概念を理解していれば、AAはたったの27%しか出てこないとわかり、安心してコールすることができます。
まとめ
今回は、コンビナトリクスを学びました。コンビナトリクスの計算方法自体ははシンプルですが、実践で行うのはとても大変です。
数字の暗記やPokerSnowie内で時間無制限での思考訓練が必要になります。
焦らず勘を磨いていくことが大事です。頑張っていきましょう!
ポイント
・コンビナトリクスは敵のレンジから考える
・自分のコンボが必要勝率を超えているかを考えよう
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